「…さすがミス聖南。エっろい唇してんじゃん」


寒気がしてきた…。


「お前の唇、味見して、それが証拠だ…」


ニヤリと妖しい笑顔をする顔が近づいてくる。


いやっ…。


キスされる…っ!!


そのとき。


頭の中に、あの日のことが頭に過ぎる。


男の声。


身動きがとれない状況。


唇が当たる感触。


押し付けられる唇。


舌の侵入を防ごうと、食いしばる歯。


あのキスの気持ち悪さ。


鮮明に記憶が蘇る。


息が荒くなる。


「いっ…いやぁぁあ!!」


私は、唇が当たる前に神谷直樹の胸を思いっきり押す。


「なっ…いって…っ!?」


神谷直樹の目には、崩れ落ちていく星蘭が映っていた。