「好きだったのは確かだけど……まだその"好き"が浅かったのかもしれないな」


浅い…か…。


あのときに私が政也を好きだった気持ちが浅かったのか深いものだったのか。


わからない。


もし今、浅かったと感じても。


あの頃の"好き"は。


果てしないぐらい深い"好き"だったと思う。


今まで、感じたことのない気持ち。


あれは浅かったの?


浅かったら子どもの恋なの?


わからない。


わからないけど。


政也を好きだったあの時の私と。


直樹を好きな今の私は。


全く違う。


それに間違いはない。


「政也…」


「ん?」


「私たち、最終的には別れちゃったけど…政也と一緒にいれて楽しかったよ」


私は優しい笑顔を政也に向けた。


私。


ちゃんと、さようならできてる?


過去を断ち切ること、できてるかな。