「でもね。私はキスできないし、その気持ちを押し殺すしかないじゃない?」


私は政也の目を見て話す。


でも。


こんな私に目を合わすことができないのか。


視線を私から逸らす。


とてもばつが悪そうに。


「そんなときに直樹が現れた」


「はっ、あいつか。あいつが救世主とでも?」


「…そう。私の救世主」


直樹は。


私を救ってくれた救世主。


秘密がバレたところから始まって。


最初は、ただのお節介だって思ってた。


いや、正しくは思おうとしてた。


でも。


直樹がいたから。


私はキス恐怖症に対して。


――――立ち向かえてる。