いや。


ただ、ほっぺじゃなくて口にしてほしかったってことかもしれない。


だから、自分でバラすのは危ない!


ここは、しらを切り通すしかない。


「さっき、ちゃんとほっぺにしてあげたけど」


強気で言うが、そんな強気さは虚しく。


「あれがキスとでもいうのか?」


やっぱり問い詰められる。


「ええ。そうよ」


そういった後、神谷直樹はクスクスと笑い始めた。


「な、何がおかしいのよ!?」


なんなの、こいつ!!


掌の上で遊ばれているみたいで、無性に腹が立ってくる。


「いや…何が何でもしたって言い切るつもりなんだなって」


「なっ…キ、キスしたのは事実なんだから!」


ため息をつく神谷。


「なあ。お前、この俺があんな偽キスに騙されるとでも思ってんのか?」