A組からほど遠くない空き教室。


―ガラ


中へと入る。


「ちょっと…離してよっ…」


おもいっきり腕を振り払う。


が、なかなか離してくれない。


しかも、全然話さないし。


いきなりこんなところまでなんなわけ!?


そんなことを考えているうち、私の背中は壁。


目の前には、左手を壁についた神谷直樹。


私を覆うような形に。


「な、何よ!」


いきなり連れてこられるわ、なんか近いわで。


「何よ、じゃーねよ。さっきのキス、きっちり貰いにきた」


「はあ?」


「だから、キス。キス貰いにきたっつってんの」


はぁぁぁあ!?


何言ってんの、この人。


あれだけ必死になっ…。


…あ。


あれは偽キス。


ってことは。


もしかして…偽キス、バレた…!?