個々が午前中とは違う穏やかな雰囲気で過ごしている中。


―ガラッ


クラスのドアが音を立てて開く。


ドアの音にみんな反応。


目線の先には。


「あいつ、何組なんだよ…」


教室がざわめく、特に女子。


振り返っていた私は、お弁当に首を戻す。


「噂をすれば…王子様登場じゃん」


と、莉子はマジマジと見ているのは。


そう、まさかのミスター聖南の神谷直樹。


私はA組。


神谷直樹はF組。


校舎自体違うから、F組の人がわざわざA組に来るはずはない。


「星蘭も見ときなよー。目、潤うよ」


「いいよ。別に、見たって変わらないし」


おかずを口へ運ぶ。


「…誰か捜してるのかな?」


呟いた莉子に反応し、箸をくわえながら後ろをちらりと振り返える。


それが、私の運命を変えてしまった。


私は神谷直樹と目が合ってしまった。


そして。


「あ、みーつけた」


そう妖しく微笑んだ。