「兄さま、ずっと思ってたんですけど、
おれ達…どうしてホモとか言われるんですか?

手を繋いでただけで…、男同士で気持ち悪いとか、変態だとか、ゲイとか…、おれ達、悪いことをしてるんですか?」
 
 
不意に弟が疑念をぶつけてきた。
 
俺達が外で手ぇ繋いでた時の会話を思い出したのか、那智は顔を顰めてどうして、悪く言われるか分からないと唇を尖らせる。

子供同士手を繋ぐことは蔑視されないのに、どうして大人の同性が手を繋いでたら悪く言われるんだろう。

兄弟で手を繋ぐ、それがそんなに悪いことなんだろうか。

どうして注目されるんだろう。
変に思われるんだろう。
蔑視されるんだろう。
 

那智は疑問で一杯のようだ。

俺も疑問で一杯だけど、気にするだけ無駄だと思う。
 

兄弟がくっ付いてる、それは悪いことか?

質問を投げ掛けてくる那智の髪を梳いて、

「さあ」

俺にも分かんねって素直に吐露。


「那智は嫌か? そう言われること」


「うーん…、悪く言われて気分の良い人はいないと思います。
でも兄さまと手を繋いだり、くっ付いたり、抱擁することは好きですよ?
ヤじゃないです。

ただ…どうして悪く言われるのかな? って。

兄弟でそういうことするのはおかしいことなんでしょうか?
今までおれ、そうやって兄さまと毎日を過ごしてきましたから、よく分かりません。
ゲイって男同士で恋愛することですよね?

おれ達は恋愛、してるんですか?
恋愛ってお互い好きーっってことでしょう?
お父さんお母さんは上手くいってなかったですけど、エイエンのアイを誓うんでしょ?」


「んー…、恋愛ってのが兄さまにも分からないからな」
 
「いつか、兄さまも恋愛するんですか?」