―――…ゆめをみた。
その夢は不思議で陳腐な夢。
平々凡々に日常生活を送る俺達がいるんだ。
両親は健在。
何故か夢の中の両親は優しかった。
現実の両親とは違って愛情に溢れていた。
「治樹、那智、時間は大丈夫?」
母親は俺等の朝食の用意しながら学校に行く時間を聞いてきて、
「こっちは時間が無い。今何時だ、芙美子」
父親は慌しくネクタイを締めて出勤する仕度をしてる。
流し目で見やりながら、俺と那智は揃って欠伸を噛み締めていた。
並べられた朝食を手に付けて、まだ襲う眠気と闘う。
その内、朝に弱い那智がうたた寝。
「おいおい那智」
遅刻しちまうぞ、俺は苦笑しながら弟を起こしてやる。