兄さまだって同じだと思う。
罪悪感とか、他人への気遣いとか、他人への優しさとか、そんなものを呼び覚ましたら兄さまは兄さまでなくなる。
だから正当化する。
おれ達のこれまでしてきたことは、ふたりぼっち世界を守るためにしてきたことなんだって。
おれは明日のために、これまでの犯した罪を正当化するために泣いて感情処理。
泣きじゃくりながら兄さまに傍にいてって駄々捏ねて、我が儘言って、縋って、正当化。
合間あいまに好きとアイシテルを口にする。
兄さまはギュッと俺の体を逞しい腕で締め付けて、気持ちに応えてくれる。
「兄さまもアイシテル。
ずっとずっとずーっと那智だけアイシテル」
嗚呼、兄さまの愛情がこれまで抑え込んでいた罪悪感を、更に抑え込み、おれの中で錠を下ろした。
疲れ果てて眠りに就く、その瞬間まで、泣き続けた。
明日のために。