(そういえば貰った飴玉、結局食べれなかったな。何味だったんだろう。火事で焼けちゃったよね)
制服に入れっ放しだったんだ。
火事で制服ごと燃え朽ちたに違いない。
勿体無いことをした気がした。
飴玉は勿論だけど、徹平くんの優しさまで火事で燃えかすと化した気がしたから。
―――…ダメだ、疲れてるせいか、思っちゃいけない感情を抱く。
おれには兄さまだけで十分、じゅうぶんなんだ。
兄さまがおれのすべて、兄さま以外のものを求めることは許さない許されない、おれ自身が嫌悪感を抱く。
兄さまとふたりぼっちになる、そう選択した、心に決めた、誓いを立てた。
他者が間違いだと口ずさんでも、おれ達の選択肢は間違ってないんだ。
他人を蹴落としても(でも悲しくて)、
命を奪っても(自分のしたことが恐ろしくて)、
屍を超えても(本当は別の道があったんじゃないかって疑念を抱いて)、
罪を犯しても(だけど背負う罪が重いと弱音を吐くこともできない)、
おれ達はふたりっきりで生きると決めた(分かってる、この道は間違ってるんだって)。