強くなるためにはまず体作りだって知って筋トレとか、
それに関連する本とかを図書館から借りてやってみた。毎日すりゃ筋肉もつくよな。
おかげで喧嘩は強い方だ。不良も恐くはねぇや。
寧ろつるんだこともあったしな。不良達のおかげで親を脅すことにも成功した。
奴等には感謝したい。
強くなるまでに辛抱と時間を要したけど、すべては那智を連れて家を出るためだ。
我慢だってできた。苦痛にだって耐え抜く事ができた。
強くなるための基礎体力作りだって、勉強にだって専念した。
こんな俺でも必要としてくれる奴がいる。
世界中が俺を蔑んでも、たったひとりの身内が、俺を真っ直ぐに信じて必要としてくれる。
それだけで俺は何だってできた。
文句も言わず俺の傍にいてくれた、血を分けた兄弟と幸せに暮らすためなら…俺は何だってできるんだ。
俺は空いた手を持ち上げて、ゆっくりと弟の頬に手を伸ばす。
「ん?」
首を傾げる弟の口端を親指で擦って、ホワイトソースが付いてる、俺は目尻を下げた。
「美味いか?」
「はい。幸せです」
嬉しそうにパスタを食う那智は可愛いと思う。異性とか見ても可愛い思わないのにな。
やっぱ俺、そっちの気があるのか?
……んにゃ、確かに那智は可愛い思うけど、
だからって男に欲情したこともねぇし、
那智にだって欲情したこともねぇし、
裸見てもときめきもしねぇし。
女を見ても何も感じないって随分俺も枯れてるとは思うけど…、那智と同じで俺も女は苦手だ。母親を思い出すから。
どんなに気丈に振舞っても幼少期に受けた心の傷は癒えてくれねぇ。
女に触れるってどうなんだろ?
想像したことあっけど、触れるイコール俺の中じゃ、母親と恋人の濡れ場しか行き着かねぇ。
んでもってまたトラウマだ。恋人に暴力振るわれたことを思い出す。
だから勃つものも勃たねぇ。
息子さんは反応もしてくれねぇんだ。
息子さんは恐怖で萎えてることが多い。