ある程度のあらすじが終わったから、今の状況を語ってみる。
俺等は今、鳥井の車でぬくぬくと飯を食っている。
今日もコンビニ弁ってのが辛いけど、仕方が無い、我慢だ。
そろそろ那智の手料理が恋しいんだけどな…、あーあ煮物が食いてぇ。
閑話休題、弁当食いながら俺は鳥井と仕事の最終確認をしている真っ最中だった。
那智には申し訳ないんだが、俺は鳥井と話しやすいように助手席に座って鳥井と確認。
確認内容は親父への復讐。
あいつに関しては命を取ろうなんざ思わない。
命を取って済めばいいんだが、あいつの場合、そういう問題でもねぇ。
寧ろあいつは俺等に命を奪われたい気でいるんじゃねえか?
今まで隠していた過去を知られるくらいなら、いっそ…なんて綺麗事を抜かしてな。
俺等の父親、下川道雄は俺等とは別の家族を溺愛していた。
それこそ内縁の夫婦だったらしいが、睦まじい仲だったと聞く。
一人娘を授かった親父は更に家族を溺愛、家族サービスを欠かすことの無い人物だったとか(一抹でも俺等に向ける気は無かったのか、あの阿呆)。
娘の溺愛っぷりは凄まじいものがあり、一人暮らしに最後まで反対していたほどだとか(俺等が家を出て行くのには何一つ反論なんざなかったくせにな)。
一人暮らしの娘の元に月三度は訪れるとか(俺等のところには来たこともねぇな)。
家族を心底愛していた。
だからこそ、親父は俺等家庭を身内に知られることを恐れた。
知られることよって失うであろう関係・愛情・信頼…。
ましてや父親が虐待を見てみぬ振りをしていたなんて、妻や娘に知られればもう傍にはいられないだろう。
―――…俺等がいつ家族に真実を告げるかも分からない。