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【某ホテルロビーにて】
鳥井が下川芙美子と交わした契約期間まで残り二日。
つまり今週の日曜になるわけだが、鳥井はホテル近くのデパートの地下駐車場で落ち合わせするらしい。
んで、始末&状況報告とその証拠、でもって支払いを済ますとか済まさないとか。
二日後は日曜だっつーのに、日曜のデパート地下では物騒なやり取りをするもんだな。
「奴一人で来るのか?」
ロビーに設置されているソファーに腰掛けていた俺は、足を組みなおして向かい側の表向きアダルト会社員に尋ねる。
「さあな、前回は恋人さんを連れてらしたけど。揃って俺のヘマに怒って下さりましたヨ」
アダルト会社員は肩を竦めた。
あの時の形相と言ったら、思い出しただけでも失禁しそうだ。
身震いする鳥井曰く、恋人さんの柄が悪いチンピラ。つまり女の恋人はヤクザ系らしい。
裏社会人同士だが、向こうの方がベテランさんだったらしく、鳥井はまだ成り立てほやほや。
全力で頭を下げたとか下げてないとか。
そんな鳥井のヘタレ話に呆れた俺だったけど、話に出てくる母親の恋人話に思案を巡らせる。
新たな恋人を作りやがったな、あのババア。
極々最近まで二年くれぇ付き合ってた恋人がいただろうに(一年前に俺はその男を半殺しにした記憶がある)、また男をとっかえひっかえし始めたか。
それとも…、俺に対する対策か。
自分の身の安全を守るための。
だったらヤグサ系の男を掴まえる理由も見えてくる。
ババアの顔立ちは良いからな。テクを使いながら誘えば、男もホイホイだろうし。
口説くテクだけは1級品なんだよな。母親としては屑だけど。
奴ほど性格ブスな美人女はいねぇな。