傍から聞けば、真昼間から会話して良い内容じゃねえが(まあ内容の意図が掴めたらそりゃそれで大問題)、当事者達は極悪面で堂々話す。
馬鹿なやり取りも程ほどにしておいて、話の筋を戻した。
「鳥井、元雇い主との契約期間は?」
「猶予を貰って残り五日。六日後には御報告しなければなりません、現雇い主殿」
「なるほどな。じゃあ五日で準備か。―…鳥井、三百万で足りるか?」
「何? お優しい現雇い主殿は俺の命を救うどころか、依頼料を支払ってくれるのか?」
「俺が出すわけじゃねえよ。
けど金のアテがあるもんでねぇ、何せ、俺の親は“俺達のため”に金を出してくれるみてぇだから? 親の脛をかじってみようと思いまして」
俺は知っている、母親の貯蓄の多さを。
まだ同居していた頃、母親は預金通帳を眺めてはニンマリニンマリしていた。
中身をこっそり見てみたら『ゼロ』が一杯、『,』が幾つも付いていた。
下川芙美子は持ち前の美貌で男から金を踏んだくっては、恋人を作り、とっかえひっかえ、金出せ金出せ、延々延々。
顔だけは良いから、男も奴のために金を溝に捨てることが多い。
だから親父以上に持ってる金を持っている。
通帳は合計三つあるしな。
それを知って俺はこっそりと口座を作って、母親の貯蓄を横流しにした(それを知ったときの母親の顔と言ったら)。
愛も金も美も持っていると自分に陶酔している女。
俺はその女にまず、私情という名の復讐を掲げてみようと思う。命を取るだけじゃツマラナイ。
玩具にしてみようと思う。
ほら、俺等にしたように、な。
俺だって玩具で遊んでみてぇよ。
どういう風に楽しいか、される側じゃなく、する側で実体験してみてぇ。
「俺の世界を壊す奴の報復と排除を依頼したい。
奴が二百万っつーなら、俺はてめぇの命プラス、百万上乗せしてやるよ」
目を細めて微笑。
「怖いねぇ」
鳥井は笑みを返して灰皿に煙草を擦りつけた。
馬鹿なやり取りも程ほどにしておいて、話の筋を戻した。
「鳥井、元雇い主との契約期間は?」
「猶予を貰って残り五日。六日後には御報告しなければなりません、現雇い主殿」
「なるほどな。じゃあ五日で準備か。―…鳥井、三百万で足りるか?」
「何? お優しい現雇い主殿は俺の命を救うどころか、依頼料を支払ってくれるのか?」
「俺が出すわけじゃねえよ。
けど金のアテがあるもんでねぇ、何せ、俺の親は“俺達のため”に金を出してくれるみてぇだから? 親の脛をかじってみようと思いまして」
俺は知っている、母親の貯蓄の多さを。
まだ同居していた頃、母親は預金通帳を眺めてはニンマリニンマリしていた。
中身をこっそり見てみたら『ゼロ』が一杯、『,』が幾つも付いていた。
下川芙美子は持ち前の美貌で男から金を踏んだくっては、恋人を作り、とっかえひっかえ、金出せ金出せ、延々延々。
顔だけは良いから、男も奴のために金を溝に捨てることが多い。
だから親父以上に持ってる金を持っている。
通帳は合計三つあるしな。
それを知って俺はこっそりと口座を作って、母親の貯蓄を横流しにした(それを知ったときの母親の顔と言ったら)。
愛も金も美も持っていると自分に陶酔している女。
俺はその女にまず、私情という名の復讐を掲げてみようと思う。命を取るだけじゃツマラナイ。
玩具にしてみようと思う。
ほら、俺等にしたように、な。
俺だって玩具で遊んでみてぇよ。
どういう風に楽しいか、される側じゃなく、する側で実体験してみてぇ。
「俺の世界を壊す奴の報復と排除を依頼したい。
奴が二百万っつーなら、俺はてめぇの命プラス、百万上乗せしてやるよ」
目を細めて微笑。
「怖いねぇ」
鳥井は笑みを返して灰皿に煙草を擦りつけた。