かったるい大学から出た俺はいつものようにバス停に向か…、じゃなく、周囲をグルリ。
待合わせをしてるんだ。


と、片側二車線挟んで向こうに、駐車違反している車を発見。
 

その車のボディは質素な白、汚れ具合から年期の入った車だと見受けられる。

道路の端に車を寄せているその車は、堂々歩道を乗り上げてコンビニ前に駐車している。


通行人は傍迷惑そうな顔を作りつつ素通り。

注意に踏み切る奴は誰もいない。


俺は見覚えのある顔を見つけ、颯爽と歩道を渡って、その車に歩み寄る。



コンコン―。



車窓を軽くノック。

運転席で缶珈琲を啜っていた男、鳥井はやっと来たとばかりに助手席のロックを解除して俺に乗り込むよう指示。

遠慮なしには俺は助手席に乗り込んだ。


鳥井とはあの日以来、初めての顔合わせだった。


連絡はちょくちょく取ってたんだけどな。

こいつ、軽く入院してたらしいから(俺が怪我を負わせたから)、顔合わせはあの日以来。


開口一番に「全治三ヶ月だと」、鳥井から皮肉交じりに悪態を付かれた。

「そりゃ軽くて良かった」俺は素っ気無く返して足を組む。



「俺的には三年の重傷を負わせてやりたかった。
いや…、いっそ那智に償う意味を込めて、片目を潰しときゃ良かったな」


「……。恐ろしいガキだな。
あ、今は雇い主か。勘弁してくれよ、これでも肋骨折れてるんだぞ。それでチャラだろ、チャラ」



何がチャラだ。

俺は鳥井にガンを飛ばした。

敢えてスルーする鳥井は、「何処に行く?」ハンドルに寄り掛かってこれからの予定を尋ねてくる。

学校、俺は即答した。

那智を迎えに行かないとなんねぇから。