向こうは俺の素っ気無い告白の返答を咎めることは無かった。

高村が気にしてないならいいだろ。
喉まで出掛かった言葉は呑み込むことにした。


余計、状況を悪化させる。

福島が子犬のように吠えるに違いない。


だけど高村は気にしていないと言いつつ、シュンと落ち込んだ様子は見受けられる。


まだ俺のことを好いてくれてるのか?

こんな俺をどうして好いてくれたのかは分からないけど、やっぱ俺は謝罪ができない。


傷付けた要素の根本が理解できてないんだ。

何を謝ればいいのかも理解できてない。

 
謝罪しても無意味だろ。

表面上折れたとしても、結局は一緒のことだと思う。


しっかし、女子はこういう時にタッグを組む。
両サイドに立つ安河内と福島が、やんわりと俺を責め立てながら(福島は猪突に責めてくるけど)、俺に謝れの一点張り。

じゃあ表面で謝れば二度と纏わり付かないのか? てめぇ等。
そういうわけでもあるまいし。


ったく、女って一々メンドクセェな。


片眉をつり上げてると、優一と浩司がこっちに歩み寄って来た。

面白いネタでも見つけたって顔だな。
俺は急いでるんだが。



「ツンデレ治樹、久々じゃんか!
何だよ、髪染めちまって…、似合うってのが癪だな!」



優一がぶうぶう文句を垂れながら、俺を舐め回すように見てくる。

てめぇに似合う言われても嬉しくも何ともねぇ。


俺は鼻を鳴らした。