―バンッ!
机上を思い切り叩かれて、周囲の注目を浴びる。
あーあ、優一と浩司にばれる。
「あいっかわらず人を無視するのがお上手ね。下川くん」
皮肉交じりの声。
聞き覚えのある声にさえ、俺は反応せず、鞄を肩に掛けて腰を上げる。
「下川っ、あんたっ、無視してくれちゃってっ!」
「も…いいよ、朱美」
後ろで安河内と、おどおどしているのは見知らぬ女。
妙に地味な身形をしてるけど…、なーんか見覚えがあるような、ないような、あ、こいつ、高村彩加か。
俺に告って来た奇特な奴。
こんな地味っこい女だったっけ?
化粧っ気もねぇし…、あー記憶にすらねぇ。
てか、よくもまあ、福島は俺達のあんな一面を見て、堂々と変わりなく声を掛けてくるな。
ある意味感服だ。
ま、言い方を換えれば“学習能力”がねぇとも言う。
俺は仕方が無しに相手をしてやることにした。
「何か用ですか? 福島さん。俺は急いでいる身の上なのですが」
「ごめんあそばせ。急いでいるようには見えないのですが。……、下川、謝りなさいよ。彩加に」
目を眇めてくる福島に肩を竦める。
それが癇に障るのか眼光を鋭くしてきた。
高村は何度も、
「私が悪かったんだよ」
だってあの時、下川くん、急いでたみたいだし。
私が無理やり呼び止めて告白して傷付いただけなんだから。
と、おどおどと意見。