「まだ何かあんのか?」
「生活費のことで少しばかり、話したい」
矢継ぎ早に喋る親父は、今月から三ヶ月間、仕送ってる分を減らさせて欲しいと懇願してきた。
曰く、向こうの生活が切迫し始めているらしい。
仕送り分が厳しくなっている上に生活もあっぷあっぷ状態。
だから少しだけ仕送り分を減らさせて欲しい。
何度も頭を下げてくる親父を、俺は冷ややかに見つめた。
こう言っちゃなんだが、親父は大手企業の専務。
それなりに収入は良い筈だ。
疑問を投げ掛ければ、今、向こうの家族事情でどーしても金が要るんだと。
話を聞けば祖父母の入院費を賄わなきゃいけないとか。
向こうの家族も養わなきゃなんねぇ。
入院費も加算する。
だから俺達の仕送り分を減らさせて欲しい。
親父は何度も何度もなんども、俺の腕を掴みながら頭を下げてきた。
「減らした分は三ヵ月後、まとめて払うから」
親父の言葉に、俺は肩を竦めた。
車のドアを閉めてドカッとシートに座り、憮然と腕を組んだ。
「三ヶ月でいいんだな?」
「ああ。家賃と水道光熱費を払う余裕くらいはあるから」
「分かった。
減った三ヶ月分はこっちでどーにかする。
俺のバイトだけでどーにかなるだろ」
それにこっそり両親の口座から抜き取った貯蓄があるしな。
結構な額抜き取ってるし、十二分に三ヶ月は乗り越えられるだろう。