「ガキなんて産むもんじゃねえな。邪魔なだけだ」
子供の前で悪態を付いてくる母親は、軽く肩を竦めて煙草をジャケットから取り出した。
俺は昔から母親にそんなことを言われ続けていた。
那智が生まれるまで、俺、ずっとずっと孤独の中で、こんなことを言われてた。
実の父親と久しぶりに一夜過ごして、那智を身篭って、なんとなく産んだらしいんだけど…、こんな扱いされるなら俺も那智も生まれてこなかった方が良かった。つくづくそう思う。
「アヅッ!」
突然、煙草の先端が俺の腕に押し付けられた。
悲鳴を上げる俺に、母親が歪に笑みを浮かべる。
「次はあんたの番」
嗚呼、なんだ。
そういう予定かよ。
俺も殴られるのか。
―…どうせ俺、あんたのストレス発散道具だよ。
馬鹿みたいに冷静になる、俺がいた。
⇒03