その日の部活のなつめは、上の空で、
いつもの覇気が感じられなかった。
「なつめ、どうしたの…?」
「さくら…何でもないって!!ごめんね、大切な時期にこんなんで…」
本当に大丈夫だよ!!…と、なつめは笑って外に出ていった。
他の部員は気付いていないようだが、明らかに今日のなつめはおかしい…
「…あと、半年だもんね……」
さくらは意味深につぶやき、稽古をつけに向かった。
なつめが、外の風に当たっていると、ふいに声をかけた人がいた。
「大丈夫ですか?…猿飛さん」
「……水野先生…」
水野は、なつめの隣に腰を下ろした。
「…身体が辛くなってきましたか?」
「…昨日、信号が来ました。…初めての…」
その言葉に、水野は顔をしかめた。
「まだ、半年あります。…諦めるのは早すぎます」
「……」
これからまた信号が来たら、私に言ってください。
そう言い残して、水野は去っていった。
「願わくは、あの方の望みが叶いますように……」
水野は、そう願わずにはいられなかった…