ある日の帰りのHRで、伊達が言った。
「お前ら、あと約1ヶ月で文化祭だ!!」
その言葉に…
「待ってました!!」
…といわんばかりに、歓声が上がる。
「ということで、クラス展の内容を決める。」
そう言って伊達は学級委員に任せ、自分は教師の後ろに立った。
「なつめ、もうすぐなんて早いね〜」
「ほんとだね〜!!…そういえばさくら、今年、水野先生誘うの?」
「!!…で、できたらね!!…先生、人気あるし…」
「最後だし、頑張んなよ!!」
桜ノ宮学園では、文化祭の最終日に舞踏会があり、
男女ペアになって踊る伝統がある。
ちなみにこれは、ヨーロッパ出身の初代理事長が始めたらしい。
舞踏会で告白されると、末永く続くという、お決まりのジンクスつきで…
舞踏会のペアは生徒と教師でもいいため、
さくらは水野先生を誘おうというのだ。
結局クラス展は、いろんな格好で喫茶店をするという、いわゆる
【コスプレ喫茶】
…になり、
男子は外装と内装の準備、
女子は服の作成をすることになり、みんなが団結した。
そんな盛り上がりムードの中、なつめは窓に目を向けていた。
その表情には悲しみの色があったが、
そんななつめに気が付いたのは、
全てを知っているさくらと、
伊達の2人だけだった。