『みやこ。』

後ろから声がして見ると彼がいた。普段キチンとした服装で、できる男とイメージが強い彼。しかし、部屋では、スエットのズボンに夏だからTシャツとかなりラフな格好の彼。

いつもと同じくラフな格好で彼は、迎えに来てくれた。

『お帰り。』

『ただいま。』

私は、彼に笑った。

駅から彼の家まで続く桜並木。毎年、この道を歩くが楽しみだった。もう、来年の春は、一緒に歩けるか分からない。そう思うと寂しく思った。

『手繋ごうか?』

そういって、私の右手を握った。彼が手を繋こうと言うことは滅多にない。付き合ってから、必要がある時以外は繋ぐことはなかった。


『どうしたの?』

『なんとなく、手でも繋がないとみやこがいなくなりそうで。』

彼は、寂しそうな顔した。