「善、おはよ」
「お~。よしの、はよ!」

自販機の前で眼鏡をかけ、窓を眺めながらコーヒーを飲んでいる彼は善一郎。
同じ高校2年。

左の横顔からはスキンヘッドが良い感じに伸びて、2本の水平のラインの剃り込みがうっすらと見える。

「予習終わったの?相変わらずエライね」
「こんな時間じゃないと乗り継ぎがない田舎に住んでるからさ、ヒマ潰しだよ(笑)」

善一郎が振り向くと、右耳にだけピアスホールが見える。
塞がってない所を見ると、学校でだけ外しているのだろう。
そういえば髪も地毛の焦げ茶だし、眉も整えているけど校則違反らしい違反は何一つしていない。

半径5m以内に近づくのがMAXだったあの頃から
半径50cmに近づけた今思うこと…