床に倒れている彼女に歩み寄って、上半身を起こした


薄く目を開ける彼女の頬が少し赤くなっていて


乱れた髪を撫でた手でそのまま顔をなぞった



こんな場面なのに、彼女の透き通る肌に目が釘付けで


慰めろ

優しくしろ

いたわれ

体の心配をしろ

頭がそう命令を下しているのをどこかで感じていても、何も言葉を発さずふるえているかのような薄く開いた淡いピンクの唇の温度を確かめたくなる


彼氏という名目のアイツに遠慮して、さきちゃんを助けられずにこんな思いをするくらいなら


それなら


少し強引でも俺も同じ場所に立ってしまえ


こんなに欲しいと思ってる

俺ならこんな目にあわせない

こんな顔させない

こんな思いさせない

あんな奴より、俺の方がさきの事が好きだ





奪ってしまえ





三度目のキスをするために顔を近づけた

以前の二回のキスのように、逃がすつもりはもうなかった


彼女が顔を引いて一瞬拒んだけれど、そのままおいかけて唇を重ねた