ほこりのかぶった机にふーっと息をふきかけて本を置くと光の中にほこりが舞うのが見えた

椅子は古びていて座っただけでもグラグラする


「体重でつぶれちゃいそう」


アタシはくすくす笑うとそう言った

そのセリフに驚いたように加賀見くんがアタシの顔を凝視する

「笑うんだ」

「え??」

驚きに驚きで返す

「や・・・・笑うんだなって思って」

「??

笑うよ?

人形じゃないもん、アタシ」


今度は彼が「そっか」と小さく微笑んだ

それからアタシは再びノートを開いて、本にふせんを貼ったところの重要箇所を書き出していく

同じように本を開いてる加賀見くん

さっきからチラチラと上目遣いな視線を感じて、ちっともページが進んでいないのは一目瞭然だった



「読んでる?」

「読んでない」



あっさりとカミングアウトされてアタシは声をひそめて笑った



「図書館に何しにきたの?」

「ん~~、助けに?」





ばかなアタシの目は一瞬で涙をこらえきれなくなって、慌ててうつむいてそれを隠した




「そう・・・・そっか・・・・」


そういう意味じゃないかも知れないのに

勉強を手伝いにきただけかも知れないし、

アタシ以外の誰かを助けにきたのかも知れないのに、

涙が止まらなくてノートに雫がおちるから、それをごまかすのが大変だったけど・・・・


加賀見くんは本に視線を落としたままそこから何も言わなかった