アタシが安心した顔をしたのか
ゲッチューは「よっと」と立ち上がると、アタシの頭にポンと手を置いた
そのまま動かすことも離すこともせず、頭に手を置き続ける
「あんたにはもうアイツがいるだろ、何も怖くない」
数メートル離れた自動販売機のところから「あーーーーっ!!触るな!」と声が聞こえる
ゲッチューはアタシから手を離すと、声のトーンを落とす
「普通の男はヤキモチをやくと、暴力じゃなくていやらしくなる」
彼の口から出る言葉とは思えなくて「いやらしい」という意味の認識が遅くなる
「いやらしく……??」
反復すると「そ、エロくなるってこと」と言われて、一気に意味を理解した
熱そうにポンポンと手の上で缶を跳ねさせながらとうまが小走りにこっちに来た
「なんだよ、頭にちょっと触っただけだろ」
「俺の役目をとるな」
「うざ……、んじゃな」
そういって帰ろうとしたゲッチューにとうまは缶を一本投げた
お礼も言わず去っていく彼の姿が公園から出て行く前にとうまがアタシの横に座った