手をつないで歩いていると、前から歩いてきた男の子二人組に声をかけられた


「とうま!」


短髪で首が大きくひらいたシャツの上にスカジャンを着ている男の子がそう言うと、その隣にいた黒のシャツの前を大きくあけて、ジャケットを羽織っている細身の男の子も「よお!」と手を挙げた


「春樹」


そう呼ばれたスカジャンの男の子の方は、とうまくんのように顔にところどころアザができていて、アタシ達がつないでいる手を見るとニヤニヤ笑った


とうまくんが「一緒の大学の友達」と説明してくれる


黒シャツの彼が少し先を指差して

「今からそこのフードコートでなんか食おうかと思ってたんだけど、一緒に行く?」

と誘われた

とうまくんは遠慮がちにアタシを見ると「俺はいいけど」っていうから、アタシもうなずいた


スカジャンの彼は春樹
黒シャツの彼はゲッチューだと教えられた


四人がけのテーブルについて、タピオカ入りの飲み物をぐるぐるかきまぜながらアタシは黒シャツの彼の顔を凝視した


「ゲッチュー??…本名?」

「んなわけねーだろ」


……ゲッチューが(ばか)といわんばかりの視線をなげかけてきた