大まかに説明された後、いよいよ第一試合が始まる。
まず始めの対戦は、二メートルを超えるであろう身長に相撲取りのような体格の男と、あまり大きくはないが鍛えぬかれた体、体格の差が激しいのに何も動じていない落ち着いた精神をもった男の対戦である。
「死んでも文句は言えねえんだぜ?辞めた方がいいんじゃねえか?」
大男はもうすでに勝ったような口ぶりで、手にもっていた金棒を舐めまわしている。
しかし強い者ならわかるだろう。
「始め!」
ズドーン!!
彼がただの変態でしかない事を…。
落ち着いた男が開始と同時に動いていた。素晴らしい瞬発力。開始と同時に動き、一秒もたたぬ間に、もう大男の腕を捕らえていた。そして、人間に数あるツボの一つを攻め、自分よりはるかに大きい男を投げ倒したのだ。
「?いでてててて!!」
大男はあまりにも一瞬の出来事に、キョトンとしていたが、次に襲ってきた強烈な痛みに、叫びジタバタと捕まれている腕以外の全身をバタつかせた。
落ち着いた男は決めにかかった。最後まで気は抜かない。投げた腕を離さず、その腕にあるまた違うツボを攻め固めたのだ。大男なのに、ジタバタする事しかできない。そこから抜け出せないのだ。
「降参!降参だ!」
呆気ない勝負であった。
「勝者タケシ!」
異国っぽい名前と思いきや、顔も異国の顔をしている。それで見た事もない不思議な技を使ったんだと納得した。
雰囲気からただ者ではない、大男はすぐやられるだろうとは思っていたが、こんな技を使うとは思わなかった。さすが鍛えぬかれた体であった。
「タケシと申すか。そなたは、我が民ではないようだが、何故この国の兵になろうと思ったのだ?」
王は尋ねた。王も雰囲気から、怪しい人物ではないと判断しているようだが、一応尋ねたようだ。