「だが戦場に出たら、そこは命のやり取りをする場だ!もし相手を殺してしまっても国は咎めたりしない!」
ざわざわざわ
「死んでも仕方ねえってか。」
友がつぶやく。
「これは、お披露目の場ではなかったのですかい?」
一人のヒョロッとした魔法使いのようなローブをまとった若い男が、ひ弱に尋ねる。
「お前達は、ここに何しにきたのだ!そんな軟弱な事を言って、この国を守れる気でいたのか?死ぬ気のない奴は帰れ!!」
ウラヌスの口調が一変した。
俺にも理解しがたい奴だ。本当に何しにきたのかと思う。
男は顔を伏せ黙った。
「とにかく死なないように気をつけてくれ。もちろん武器の使用も可。魔法も可。存分に戦うように。だが、王や周りに被害を与えるような魔法や技を使った者は即刻切り捨てる。」
「まあ、そんな魔法使う前に僕が相殺しちゃうけどね。」
ウラヌスの隣にいる忠誠敵なローブを纏う男が、ニヤリと笑いながら口を開いた。
魔法使いの部隊の人間なのだろう。
この世界には、力だけでなく、この魔法を使う者が数多くいる。身体能力のように、向き不向き、伸びる伸びないは生れつき、ある程度はあるが、才能ある人間の魔法は凄まじい破壊力である。しかし、もちろん魔法にも利点ばかりではない。魔法が全く効かない人間や物があるのだ。何故かはまだ現代では解明されてはいないが、効かない人間にとってはなんでもない。栄えた国では、この魔法の効かない物質で城を囲んでいる国もあるようだ。
魔法は呪文を唱えないと使えないのも難点で、モタモタしていたらその間に自分がやられてしまうパターンもある。簡単な魔法なら呪文も一言だったりする。だから、普通に体を鍛えてる人がちょっとした呪文を覚えているなんて事もあるが、壮絶な力を持つ魔法なんかは、呪文が長すぎるので、本当に魔力の優れた人間でないと覚えようとしないし、使う事もできない。
この中性的な男は、かなり自分の魔力に自信があるように感じる。