「え~行っちゃったの?」

 残念そうにつぶやくエイルク。好奇心旺盛な少年には、この上もなく面白い相手だったのかもしれない。

 何故かナナンも同じくらい残念そうにしているが……人間になってから、生まれ変わってもその記憶を消してくれない神様に多少の腹立たしさを持つナナンにとって、ベリルとはどこか共通する意識があるのかもしれない。

 もうすぐ修理の終わる船のリビングルームで、白銀はそんなみんなの様子に微笑みながら、端末をいじる。

「何を見ておるのじゃ?」

 ナナンがのぞき込む。

「ん? ルジラドリトアの言い伝えについてね」

「おお、そういえば彼が面白い事を言うとったな」

「! どんな?」

「元々はルジランの『緑の怪物』という名前が、ディバックにすげ変わったんじゃが。彼があの星に来たせいだとか」

「……」

 つまり、過去にあの星で何かしでかしたんだな……