セレンの工場に到着しても、エイルクたちはベリルに張り付いていた。

「ディラン! 修理手伝うんだろ?」
「あっ……と、そうだった」

 白銀に言われて、ディランは慌ててエンジンルームに向かう。エイルクは「面白そうだ」とディランについていった。

「ベリル」
「ん?」

 落ち着いたようにバイクにもたれかかっているベリルに白銀は声をかける。

「これからどうするんだ?」
「さてね」

 一度、目を閉じて少し顔を伏せたあとベリルは工場の外に目を移した。

「行きたい処はいくらでもある」
「!」

 穏やかなエメラルドの瞳に、白銀も外を見る。

「もし何かあれば、仲介屋に私の名を出せば良い」

「!」

 振り返ると、ベリルがバイクにまたがっていた。

「おいっベリル!?」

 ベリルは右手で軽く別れの挨拶をし、走り去った。