「セレン」
「ん?」

 振り返った男に、ベリルは口の端をつり上げた。

「この近くに『広い場所』はあるか?」
「……南100kmに廃墟がある」
「! 何をするつもりなんだ」

 雰囲気の変わったベリルとセレンに、白銀が問いかける。

「逃げ続ける訳にもいかんのでね」
「1人で戦うつもりか」

 リャムカは呆れたように発した。ベリルはニヤリと笑みを浮かべ、口を開く。

「武器の設計図は破棄し、科学者たちも解放した。私の手元にある唯一の商品を大切に持ち帰りたいだろう」

 相手は手荒なことが出来ない事を踏まえたうえでの戦闘。それでも、たった1人で迎え撃つ度胸には感心する。

 ベリルは他に3つほどの武器とバッテリーやらを選び、セレンにクレジットカードを手渡した。

「迷惑をかけたな」

 白銀たちに言って、工場のわきに止めてある反重力バイクに足を向ける。