「! だめだ。相手のシールドが強すぎる。もっと接近して撃たないと」とディラン。

「バカいえ! これ以上の接近はこっちにも大きな被害が出る」

 相手の船は中型船だが、こちらよりも多くの武装をしている事は明らかだった。

「短距離HD(ハイパードライヴ)は可能か?」

「えっ!?」

 2人の間に突然、別の声。振り返るとベリルが後ろに立っていた。

「何か策でもあるかの?」

 後ろのシートにベルトを締めて座っていたナナンが問いかける。

「奴らの船は小回りが利くが、操縦士はお前ほどの腕は無い。短距離移動で後ろに付く事が可能だ」

「この船でそんな芸当しろって!?」

 ディランが声を張り上げた。

「私がサポートにつく」

 言って、副操縦席に腰を落としたベリル。シートベルトを締め、不安げなディランを一瞥した。