自分は人間らしくなろうとしているのか、それとも、戻ろうとしているのか。
それは、多分キャプテンに会ってから心境が変わってきたのではないのかとケイラは思う。
では、例えば――
「アイツがいなくなったら、俺、どうなっちゃうんだろ・・・」
以前のように戻ってしまうのか、それとも、それ以上に落ちていくのか。
いや、ケイラが気にしているのはそこだけではなかった。楽しかった日々が会ったからこそ、失ったときはそれ以上につらくなることが、怖いのだ。
ゆっくりと、手首につけた小さなベルトを見つめる。
「会いてぇな」
――
(今日、キリちゃんと遊ぼうかな?)
わくわくしながら勉強に手をつける。久々に昼前に勉強が終わりそうなのだ。オーケーがあれば、昼食も外で食べ、色々な所を回ってみるのも悪くない。
きっと楽しいな、とエリカは胸を躍らせる。
「誘ってみよっと」
携帯電話に手をつけようとすると、なんと充電切れで通話の出来ない状態になっている。
なんてこった、と充電器を差し込んで、エリカはふと窓の外を見る。天気は、本当に遠足日和と言っていいほど、雲1つ無い晴天であった。
「絶対に、会う」
――
「も、や、し」
シュンリは覚えた日本語で八百屋に置いてあったもやしの字を読んだ。
秋の下旬なのに暖かく感じるほど強い日差しが照りつけ、上着を一枚脱ぎたくなる。
「もやしって・・・どう料理すればよかったのかしら」
中国語でぼそりと呟いた。
もやしなど使った経験が無かったので、何に利用されるのかがわからない。
「今度、聞いてみようかな」
携帯を見て、キャプテンから間違い電話が来た時のことを思い出す。