「私、助ケタカッタンダヨ」

震える声で、私は必死に訴えた。

「喧嘩馴レシテルトカ、キレヤスイトカジャナクテッ・・・」

1人でそんなことを言っていると、キャプテンはまた意外そうな顔をして言った。

「いや、それって、悪い事かな?」

キョトンとした顔でキャプテンが言うので、私は豆鉄砲を食らったような顔をしてしまった。

「ド、ドウシテ・・・」
「だってさ、そんな喧嘩っ早いだけで嫌うのはなぁ。薄情やと思うし。それに助けてくれたんやでね」

ね、とキャプテンが言っていることに対し、私の中から不安が引いていった。抱えていた重荷が取れた気分だ。

顔に温かい熱が上がってきたのが分かった。

「それにさ、自分よりも他人のことに対してキレるってのは、ある意味いい事なんやと思うけど。うちの感覚で。ハッキリ言うと、カッコよかったよ」

両手で私の両肩にポンと手を置き、安心させるように彼女は言った。

唇が震えた。自分でも情けないと思うほど、嬉し涙が込み上げてくる。込み上げてくるが我慢した。

「ウ゛ッ・・・」
「う゛?」
「私・・・コンナコト言ワレタノ、初メテ゛ェ・・・!」
「うわぉう!?」

涙が無くても、濁音だらけで話す私は、フラフラになったようにキャプテンに抱きつく。
キャプテンは驚いたような顔をし、そしてしばらくすると、そっと私の背中をさすった。

「ダイジョブダイジョブ」

キャプテンはそう言いながら私の背中をぽんぽんと軽く叩く。

「寂しいんやよね。ずっと独りぼっちやと」
「ウン・・・」
「・・・優しいね。本気で極悪人やったらこんな風にならんって」
「ソウ・・・カナ」
「うん」

私の顔と同じ高さに目線を持ってくると、頼もしくキャプテンは笑う。

「うちは好きやよ。シュンリちゃんも、みんな」

ずっとこうしていられたらいいのにと思えるような気分だ。