・・・シュンリSide・・・
キャプテンの力の抜けたような顔を覗き込み、私は必死に彼女の体をゆする。
話はほんの十数分に遡る。
ソフトクリームを食べて少し歩いた時、歩道橋の上にキャプテンを見つけた。話しかけようと思ったが、隣に男の姿が映る。
キャプテンの顔つきも、決して穏やかではなかった。何となくいい雰囲気ではないと思っていたが、逃げようとした(のか?)のを男が手をつかんで放さない様子だったので、私は慌てて走り出す。
歩道橋を駆け上り、思い切り男の頬を殴りつける。
男は「ギャフアー!!」と声を上げて手の力を緩めた。その隙に私はキャプテンを掴み、そのまま近くの喫茶店の中に入る。
それで、今に至るわけだ。
「キャプテン、起キテ」
数回揺すって見ると、キャプテンはすぐに魂のある顔になった。
「ああ・・・シュンリちゃん・・・」
「大丈夫ダッタ?」
「うん、てか、シュンリちゃん助けてくれたし(正確には自分も殴られたようなものだが)」
何故か、キャプテンは意外そうな顔で左頬をさすって言う。
もしかしたら、彼女にも引かれてしまったのだろうか。
一気に不安が押し寄せてきた。
「いや、でも驚いた。シュンリちゃんがあんなに強い力で殴ってくるとは・・・」
「エッ・・・?」
ゾクッとした。鳥肌が立ち、座ることさえできない気がする。ぶるぶると震えだしてしまった。
「イヤ・・・」
「え?」
「イヤダ・・・」
「ああいや、何が・・・」
「私ノ事、怖イノ?」
多分、私の顔は恐怖に満ちているに違いない。
いつものように、離れられるのが怖いんだろう。きっとだ。