少女漫画ではこういったキャラクターがライバル人物として登場する。高木はそれと同じくらいたちが悪いように思えた。

「君ってさ、何で僕の思いどうりにならないわけ?」

んなもん知るか。と私は心の中で反論する。なにを思いどうりにされればいいのだ、とも聞きたくなった。

「他の子は皆僕に興味を示すのに、君だけなんだよね。感心を持ってないのは」
「ああ、基本ただの人間には興味ないですよ」

素っ気なく言い返す。心底で「特にアンタみたいなワンパターンな人間には」と付け足す。
大体彼が言いたいことは分かったような気がする。つまりこう言いたいのだろう。

他の女子は自分に近寄ってくるのに、私だけが「落とせなかった」のが許せなかった。もてることが自分のプライドだったのだろう。

だから私に突っかかってくると言う事になるような気がした。
今まで私にちょっかいをかけてきたのは、おそらく行為ではなく自分のプライドのためだろう。本当にたちが悪い。

いずれにせよ、このままではまずい。

ケイラほどの身体能力があれば楽勝で高木をなぎ倒せるのに。こんな人物作るんじゃなかった。色々と後悔し、頭に「スポン」と空気の抜ける音を思い浮かべる。

こういう時こそ、絶対的妄想力が使えるではないか。

急いで実体から抜けて高木の体に乗り移る。さてと、と自分の体を引っ張った時、思い切り誰かに拳で殴られた。

「ギャフアー!!」

殴って来たのは、私が知っているあの可愛い人物。

―う、うち、何でシュンリちゃんに殴られた!?

驚いて殴られた頬を押さえる。