そして再び前を向くと、意外にも丁度今日言われた仕事を片付けるチャンスが訪れる。
前にいた男2人組の姿が、あのマフィア崩れに似ていたからだ。普通こういうことは秋乃や他の仲間に伝えるほうがいいのだが、相手のペースが速いのですっかり忘れて追跡してしまった。
足音をなるべく立てないようにして走り、辿り着いたのは大きな立体駐車場の最上階。大きいので誰も来ないと考えたのだろう。
せめて立ち入り禁止の所に来てくれれば、心置きなく出来たというのに、と溜め息をつく。本気が出せないと負けかけるんだぞ俺は。
物陰に隠れて、2人の会話を聞く。
「どうだ?誰もいないか?」
「ああ。というより、誰も来ないだろ。こんなでかい立体駐車場の頂上なんて」
そりゃそうだ、と俺も同感する。
「で、どいつから殺す?」
「学年と出席番号順にしようぜ」
何で出席番号が出てくるんだ、と問いかけてみたくなった。