土岐は今の集いの場である公民館で、身寄りの無い子供を育てていた守り屋だった。今のように、戦った相手を殺すほどではない、捕まえる程度で済ますほど、お人好しで正義感のある男だった。

秋乃や俺、ジュマがその子供たちのうちの1人だ。中には表の社会に出る者も居たが、大抵は自分の意志でここに残っていたので、仲間が多い。

多分、俺と同じように育てられ、土岐のことを覚えている者はこう考えているだろう。
そんじゃそこらの警察は、大抵は役に立たない、と。

特に俺は、交番を見るたびにそう思った。

そんな気持ちを抱えながら、学校へを足を運んだ。憂鬱だが、行きたくないとは思わない。俺にはちゃんとした使命感がある。
確か、教師が話したい事があると言っていた。ろくなことではないと分かっているので、足は止まらない。

校舎内に入ると、ふと思い出す。

―ナマコの水槽の水を、替えていない。
替えなきゃならないな。

職員室に行くよりも前に、理科室へと向かう。それは、唯一の娯楽のような物だった。