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「ちょっと、リク!起きなさいよ!」
夢を見ていた。目を覚まし、起こしてくれた秋乃に感謝する。
「ったく、何してんのよ」
「ん・・・ああ」
「ああ、じゃないって。昨日疲れ果てて集いの場のソファーで寝たと思ったら、朝になっていきなり絶叫するんだから」
「・・・声には、出してない」
「出てたって」
「出てない」
負けじと言ってはみたものの、結局粘り強い秋乃相手に折れてしまう。
その次だろうか、頭がズキンと痛む。
「あんた・・・まさか土岐(とき)の夢でも見たわけ?」
俺は無性に跳ね上がった。殺された育て親の、守り屋の名前、ビンゴだった。
「やっぱり、そうなんだ」
「・・・ああ」
小さく呟くように言うと、秋乃は頬杖をつき、鬱陶しそうに言った。
「リク・・・あんたいくらなんでも考えすぎじゃない?」
「何がだ」
「土岐のことよ」
このとき、大体秋乃の言いたいことが理解できた。つまり、こう言いたいのだろう。
「俺がよくこんな悪夢を見るのは・・・土岐のことばかり考えてるからなのか?」
「そうよ。だって本当じゃない」
「考えてちゃいけないのか?」
「ダメってわけじゃないけど・・・考えすぎなのよ」
「別に、支障が出てるわけじゃあないだろう」
「そうだけど・・・彼はもう死んだ。そろそろ忘れたら?」
「何・・・?」
俺は露骨に嫌な声を出す。声を自然と低くし、威嚇するように唸ってしまった。