― あんなクズ共と、友達を一緒にするな -
地響きがするのではないかと思えるくらい、強く床を踏みしめる。今にも狂いそうなキャプテンの耳にさえ、ドシン、という音が聞こえる。
その覇気を周りも感じ取ったのか、一番先にジュマが動く。
「キャプテンさん・・・!あのっ、この前の小説、入賞しましたよ!」
どうにか気を高木から逸らそうと必死に話題を立てる。周りのクラスメイトも一緒になって止めにかかる。
「へ、へぇー、すごいじゃん!感激するなぁ」
「さすがだねっ、ははは・・・」
それでも、顔から怒気が出ていることを察したジュマは、とっさに夏休み中にキャプテンに渡された同人誌をバックから出す。
「キャプテンさん!同人誌読みましたよっ、ほら、ほら、返しますねっ」
必死に目の前で同人誌をかざしてやると、キャプテンもさすがにおさまったのか、同人誌を手に取り、鞄を置く。
いつの間にか高木はいなくなっていた。
クラスの誰かが、気遣って彼をクラスに戻してくれたのだろう。