「しっ、静かにしてくれ」
まだがやがやとしてうるさかったので、キャプテンは小声で言う。
ジュマの体重を上回るキャプテンの体重が、痩せた足にのしかかれば相当な負荷がかかる。声を上げても無理はないが、キャプテンには謝る余裕しかなかった。
「ごめん、とりあえず黙っとって。あの人嫌なんやて」
「え?・・・ああ、高木先輩、嫌いでしたよね。キャプテンさん」
「うん。うん」
何とか切り抜けられたと思ったが、そこを幽霊が通ったのか「キャプテンさん」の言葉の時にいっせいに周りが静まり返り、小声でも十分聞こえる状況になってしまっていた。
「あ、いたんだ」や「おはよう」と声をかけてきたのは嬉しかったが、高木と目が合ってしまったのは本当に嬉しくなかった。
「あ、おはよう」
今日は休めばよかったのだろうか?
顔を引きつらせながら神に問い詰めようと思った。