・・・と言う事で、ホイコーローを作り始めた二人。

濃い味の味噌とニンニクを刻んで炒めていく。

「シュンリちゃんはよく食っとった?」
「モヤシ入レテ無イケド、ヨク食ベテタ。」
「そっかー。そりゃ中国の料理やでね。うち、中華料理は好きやよ。」
「私ハ・・・」

てっきり料理のことを言ってくるのかと思ったが、意外にもこんな事を言ってきた。

「キャプテンノ喋リ方ガ好キ。」
「ああ・・・。方言ね。」

突っ込みを入れたくなるが、あまりにもシュンリが真顔で言っていたので、突っ込みにくくなる。
キャベツを炒めながらそんな事を考える。
キャベツを皿に移した時、シュンリが窓の向こう側を見てぼんやりとしているのが目に入った。
真剣なまなざしで窓の向こう側を見ている。

(まさか・・・人を撃ち抜くこととか考えとるんかな・・・?)

漫画喫茶事件の事もあり、ついそんな事を考えてしまう。
まさか、シュンリはいつも殺すことを考えているのだろうか?
この時でも、そのことを考えているのだろうか?
そんな疑問が浮かんでくる。
しかし、幸いそうではないようだ。
シュンリは向こう側のハトの群れを見てフッと笑う。楽しさと、憧れの混ざったような笑みだった。

「東京ハ・・・自然ガ無イノニ鳥ガ多イ。」