複雑な気持ちも吹っ飛んで
家族中が啓吾の応援で声をあげた。

いつものように
こうしたらいいのにとか
ああできないもんかと ダメ出ししながら
啓吾の得点を待っている。


しかし残念なことに
相手に一点を許して同点になり
得点を焦る啓吾がイエローをもらい
その後ゴール前の接戦で倒された啓吾が
カッとなって相手に向かっていったことで
レッド退場になってしまった。


「なんで…啓吾~~~」
心臓が縮みあがった。


ピッチをふてぶてしく歩き退場する啓吾に
解説者は
「大物ぶりは感じますけど…ね~」と苦笑した。


一人少なくなったチームは 守りの時間が長引いて
延長戦かと思われた後半終了間際
裏から走り込んできた相手FWに決勝点を
決められて…敗戦した。


「うわ…これって啓吾
責任重大だわ……。バカね…あの子
ああいうとこあるから…すぐ熱くなるんだもん。」

ママが飲んでいたビール缶を潰した。


「いや それが啓吾だから…
いいんじゃないか
気遅れしなくて堂々としてて……。」


パパの言葉に私も少しホッとした。


結局大会はベスト4で幕を閉じた。