「いい顔してたな~啓吾。
めっちゃ憎らしいくらいいい顔だった。」


勇樹が遠くを見つめている。


「ごめんなさい…
私のせいで……。
本当はあそこにいるのは啓吾じゃなくて
勇樹だったのに……。」



「そんなつもりで言ったんじゃないって。
俺が行ったところで
代表候補に残れるわけなかったし
啓吾だから残ったんだって~」



勇樹が笑ってくれたから
ホッとした。



「サッカーと引き換えに朱奈を
手に入れたんだ。
どっちも欲しいなんて思ったら
罰が当たるから。」



  手に入れた……


その言葉になんとなく
ひっかっかったけど……



「朱奈 今日はありがとう。
朱奈を抱くのはまた
後の楽しみになっちゃたけど…
嬉しかった。
朱奈に抱きしめてもらって……。」


さっきの可哀そうな勇樹を
思いだして胸が痛んだ。


「悲しい時は抱いてもらいたいもん。」


私はそう言った。