勇樹と手をつないで歩いていると
家の近くの公園でリフティングをしてる
啓吾にバッタリ会った。


勇樹と繋いだ手が一瞬力が抜けた瞬間
強い力で握られた。



「あ…こんちわ。
どうですか?」
啓吾の顔も困惑していた。


「うん…。朱奈の見舞もあってやっと
退院したから来週から少しづつならしていくわ。
って言ってももう引退なんだけどな~
おまえすごいじゃん!!」


「あ…はい
なんとか…ひっかかれました。」


「おまえならできるって。
頑張れよ。」



「ありがとう…ございます。」

啓吾も勇樹の怪我の変わりに選ばれたという
罪悪感なのか
なんとなくギクシャクしていた。


勇樹の方がまっすぐ前を見て
堂々としている。


「朱奈送っていくから。」



「あ…はい…ありがとうございます。」


勇樹はそう言うと私の肩を抱いた。


「じゃあね~おにいちゃん……」



啓吾はまたボールを蹴り始めた。
規則正しいリフティングの音が……
私の後ろ髪を引いている気がした。