高校を辞めた今、信じられるのはお金ぐらいだった。
生きる為にはお金が必要。
こうして私は援助交際を始めた。
身体を売るなど、簡単な事だった。
ぎこちなかった笑顔も、今では上手に笑える。
甘い声の出し方も、男を喜ばせる行為も覚えた。
怖かった夜の町も、今はとっても居心地がいい。
―――――――――――――――――
親父に手を振って、ホテルを出る。
まだ夜が明けきっておらず、人影も少なかった。
白い息を吐き出しながら、もらったお札を数える。
1,2,3,4……
約束してた額より、少し多かった。
「ありがと、パパ」
お札に口付けした後、それを封筒に戻した。