声のする方へ顔を向けると、そこには確かにパパがいた。
右肩から血が溢れて出ていて、足を引き摺っているパパ。
「パパーパパぁー」
呼ぶ事しか出来ない。
助けを求める事しか、私には出来なかった。
「梓紗を離せ!娘は関係ないだろう!!!」
「黙れ、お前らの意見は聞かない」
少し、息が苦しくなった。
私を捕らえてる腕が、強くなったから。
「うぅ…っ」
少し呻き声を上げると、パパが動いた。
「はなせぇえぇぇぇ!!!」
身体が軽くなり、腕から解放された。
パパを見ると、私を捕らえてた男にしがみ付いていた。
パパを引き剥がそうと、周りの男が動く。
「梓紗、逃げろ!!早く遠くへ逃げるんだ!!!」
恐かった。
見たこともない男たちも。
私を怒鳴るパパも。
反応のないママも。
皆々…恐かった。
逃げたかった。
この空間から、逃げ去りたかった。
玄関は開いていた。
裸足のまま、そこを飛び出した時、後ろから2回…銃声が聞こえた。