「おはようございますっ」
白蝶では、二人の人物。
「あぁ、おはよう桜」
オーナーはにっこり、紳士スマイル。
隣には、書類を抱えている柏木さん。
「おはよう、桜ちゃん。今日から頑張るんだよ」
「はいっ!」
えへへと笑って見せると、オーナーは顔をしかめた。
「桜、とりあえず最初に掃除だ。ジャージに着替えて来い」
「ジャージですかぁ?」
語尾を伸ばして首を傾げると、オーナーはさらに嫌そうな顔をした。
「いいからさっさとしろ」
「…はーい」
しぶしぶ、ロッカールームに向かう。
私専用のロッカーを開けると、ジャージが透明の袋に包まれていた。
「……だっさ」
何の飾りもない、黒のジャージ。
私はそれに着替え、着ていた服をロッカーにしまった。
「早くしろー」
ホールから聞こえる私を催促するオーナーの声。
小さく舌打ちをして、私はホールに戻った。