…良かった、嘘ついて。
慣れておくためにも試しに飲んでおこう。
「それじゃあ今日はもう帰っていい。明日…夕方4時に出勤。雑用後に初仕事だ」
「分かりました、失礼します」
私は立ちあがり、ドアの前でオーナーに一礼。
「礼儀が出来てるじゃないか、頼もしいな」
顔を上げると、オーナーがくすくす笑っていた。
「馬鹿にしないで下さい」
言い放ってから、私は面接室を出た。
バックルームを抜け、ロッカールームに戻った。
そこにはさつきが気だるそうにロッカーに寄りかかっていた。
「さつき、さん?」
「あ、桜ー!お疲れー」
さつきさんは私に気付くと、笑顔を見せた。
待っててくれたのか…素直に嬉しい。
「もう終わりなの?帰っていいって?」
「はい、初仕事は明日だそうです」
「そっか、じゃあまた明日ねー」
「はい、失礼しますっ」
さつきさんはにこっと笑って、仕事に戻っていった。
私はそそくさと身支度をし、白蝶を出た。